私は、この人の妻?

···海斗 side


「おばあ様、どうされましたか?」
珍しくおばあ様からの電話だ。

「海斗、代わりはないの?」
「はい。おばあ様は?」
「問題ないわ。」
「今日は、如何されたのですか?」
「あっ、そうそう。
海斗、今度の日曜日は、
仕事は、休みなの?」
「はい。一応は。」
「ならば、帰ってきなさい。」
「何かあるのですか?」
「あなたに会わせたいお嬢さんがいるの。」
「おばあ様、私には恋人はいりません。」
「海斗、私は、そう長くありません。
あなたのお嫁さんがみたいのです。」
「おばあ様······」
「わかりましたね。」
「はい、はい、わかりました。
会うだけですよ。」
「私の大親友の佐代の孫なの
粗相があったり
お嬢さんに嫌な思いをさせることは
ゆるしませんよ。」
「わかりました。
まだ、仕事がありますので。」
と、電話を切ると

「おばあ様?」
「ああ。日曜日に見合いをしろと。」
と、言うと息を呑む陸人に。
「すまん、断れなかった。」
「······仕方ないよね。
海斗は、おばあ様に逆らえないから。」
「ああ、会うだけだ。
おばあ様の親友の孫だそうだ。」
「じゃ、断れないじゃん。」
と、言って背を向ける陸人。

隠し事はしたくないから
話しはしたが·····

俺は、陸人を後から抱きしめて
「わかってるだろう。
愛してるよ、陸人。」
と、言うと
陸人は、向きを変えて
俺の首に腕を回した。
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