カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
それは新婚さん向けの情報誌で、ブライダルの特集や生活の知恵が数多く載っている有名なものだった。
そのほかにも、神前式のリストや白無垢のカタログ、お色直しのドレスなど、多くの資料が重ねられている。
いくつか、ふせんがついているものもあるようだ。
どうしてこんな雑誌が?
ドキドキしながら眺めていると、向かいのふすまが開いて千里さんが顔を出す。
「わっ、びっくりした。俺の部屋にいたの」
「すみません、勝手に。その、気になる雑誌が目に入ったので、見たくなってしまって」
「あー、置きっ放しにしてた。見られちゃったか、恥ずかしいな」
「これ、千里さんが集めたんですか?」
「そう。桃にはどんな白無垢が似合うかなって考えていたんだよ。女の子はドレスを着たいかもしれないし、いろいろ調べていたらキリがなくて。一緒に見ようと思っていたんだ」
彼は、柔らかく目元を緩めて頬を染めている。
全部、私のことを考えて調べてくれていたんだ。相談するつもりだったと知って、胸が高鳴った。