カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 やっぱり、この態度が全て演技だとは考えたくない。千里さんは、いつも誠実に向き合ってくれていた。

 例え、美冬さんの代わりに選ばれたのだとしても、惚れていると言ってくれた気持ちを信じたい。

 私の様子がいつもと違うと、すぐに気がついてくれて、心が温かくなった。心配されているのがひしひしと伝わってくる。

 ちゃんと、向き合わないとダメだ。


 覚悟を決めて口を開いた。


「千里さん」

「うん?」

「美冬さんの連絡先を教えていただけませんか」


 その返答は想像もしていなかったらしい。しかし、もう引く気はなかった。

 もう一度、ちゃんと美冬さんと話したい。

 今日はショックが大きくて逃げてしまった。宣戦布告をしてきた彼女に、なにも答えられなかった。

 でも、もう負けない。

 千里さんは、すぐにメールのアドレスを教えてくれた。


 『もう一度、会えませんか』

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