カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
もう、絶対離れたくない。このまま全てをもらってほしい。
そう思えるほど、私にとって千里さんの存在は大きくなっていたんだ。
男らしい骨格の大きな手で優しく触れられるたびに、緊張でどうにかなりそう。与えられる刺激で頭がいっぱいになって、意識さえもあいまいになる。
言葉にならない声を小さく漏らしながら目を潤ませていると、弱いところを責める彼と視線がぶつかって、恥ずかしさのあまり目を閉じた。
「ちゃんとこっち見て」
「む、無理です」
「だめ」
短い会話はお互いの熱い吐息がかかってくらくらする。壊れ物を扱うような繊細な手つきと愛しさが溢れた眼差しは不安を感じさせない。
「桃、好きだよ」
隙間なんて少しもないほど抱き合って、耳元で甘い声がささやかれる。素肌をすべる指も、だんだん余裕がなくなる口づけも、全てが愛おしい。
彼の気持ちに応えるように、たくましい背中に腕を回した。
こうして、心も体も深く繋がりあった夜。なんの偽りもない愛の言葉を交わしあい、甘い快楽にひたすら溺れたのだった。