カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~


 全身に雷が落ちたような衝撃が走った。

 嘘。信じられない。まさか、目の前の彼が。


「せ……センリ、さん」

「うん。よくできました」


 爽やかな好青年はどこへやら。危険な色気をまとう“センリ”へ一変した男性に、思考が追いつかない。


「冗談ですよね」

「俺たちだけしか知らない夜を言い当てた時点で、冗談ではないだろ?俺が君に似合う着物を贈れて当然なんだよ。肌の色も体つきも、ベッドの上で全部ちゃんと覚えたから」


 かぁっと頬が熱くなった。恥ずかしげもなく、よくそんなセリフが言えるものだ。

 バーであった時はジャケット姿だったし、髪型も違かったから気づかなかった。ここまで印象が変わるなんて。バレない程度に演じながら、こちらの反応をうかがっていたのだろうか。

 僕、なんてかしこまった話し方をしていたのに、仮面が剥がれ落ちたように饒舌(じょうぜつ)になる。

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