カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
さらりと伝えられた爆弾発言に言葉を失う。
初対面で王子様だと思ったのは完全な間違いだったようだ。
夢のようなひとときをもらって、大事に抱かれたと綺麗な思い出にまでしていた自分が馬鹿みたい。
羞恥と混乱で訳が分からなくなって、なにも言えなくなる。
信じられないほど悪い人だと思うのに、私に向けられる視線が熱っぽくて、本心から興味を惹かれているようで、無下にできない。
そんな、情のこもった目をしないで。絆されるわけにはいかないんだから。
ふいに、つぅっと輪郭を撫でられる。
体温が上がる自分を必死に押さえ込んで強く睨み返すと、目が離せないほど色気のある表情が視界いっぱいに映った。
耳をくすぐる低くて甘い声が届く。
「親のいいなりになる弱気な子かと思っていたのに、そういう顔もできるんだね」
「馬鹿にしているんですか」
「ううん。痺れる」