カラダから始まる政略結婚~一夜限りのはずが、若旦那と夫婦の契りを交わしました~
甘い独占欲は隠せない
翌日、障子から降り注ぐ陽の光で目を覚ました。
静かにふすまを開けると、冷房にあたりながら布団に包まるシルエットが見える。
気持ちよさそうにすやすや眠っているようで、寝返りではだけた襟から見える首筋と鎖骨が色っぽい。
そういえば、ホテルに泊まった翌日も千里さんは私より先に起きていた。
紳士的で所作も隙がない彼の無防備な姿を見るのは初めてなので、知られざるプライベートをのぞき見してしまった気分になる。
せっかくのお休みだし、このままゆっくり寝ていてほしいな。
朝ごはんを作ってあげたいけれど、勝手に食材や台所のものを使うのは気が引ける。
少し考え込んだが、私と彼は夫婦になるのだ。家にお邪魔するのは初めてとはいえ、自由に出入りしていいとの許可ももらっているし、遠慮しすぎなくていいだろう。
髪を整えたあとに、気遣い程度に軽く化粧をして台所に立つ。