HoneyとBunny
「んぎゃ!!!!」

「うおッ……何やねん。」

衣奈にスマホを差し出され覗き込んだ南は思い切り顔を歪めた。

「なんやこれ。」

「……私が聞きたい。」

画面には『待ち受けにしたで〜。』のメッセージに圭兎のスマホのロック画面のスクリーンショットが送られてきていた。

「昨日こいつと会ったん?」

「うん。なんか帰る時間被っとったみたいやから。」

「ほぉ。昨日何してたん。」

「私はカラオケ、土屋くんはバスケ部の親睦会。」

朝の登校時間からゲンナリさせられた衣奈はため息をついた。

「どう?南はバスケ部。」

「おー、ええ感じやけどレギュラーは厳しいかもしれんな。」

「あぁそっかぁ……。まぁ一応強豪やもんね。」

「そやな。」

岡高に受かった南は中学が先輩に誘われて入学前からバスケ部で練習していた。
南はぼんやりしているが人一倍負けん気が強い、スタメンはともかくレギュラーになれなかったら練習量をこれでもかと増やすに決まっている。

「衣奈、俺明日から朝練やから一緒に行けへんぞ。」

「あ、うん。朝練ない時言うてな、一緒に行こう。」

「おー。」

衣奈は南にバスケをとにかく頑張って欲しかった。
ミニバスのチームで一緒だった時からずっと応援していたのだ。
もちろん圭兎も応援しているが、岡高に入った以上南に重きを置いているのは間違いなかった。

「頑張ってな。」

「……おー。」

眠たそうな返事だが、衣奈は嬉しくて南の背中を叩いた。

「なんやねん。」

高校では衣奈は部活に入らないつもりだ。
だから、南とはなかなか時間が出来なくて話す事も少なくなるかもしれない。
衣奈は、まぁたまには練習を見に行ってやるか、と悠長に思っていた。

もちろん試合には応援に行くし、練習ならとことん付き合うつもりだ。
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