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2.体育服の行方

「どこにあるか分からないし、見つけても今日はもう授業受けられないから、いいよ。」

この人とは、そんなに話したことないんだ。すごく気まずい。

「でも、体育服親が買ってくれてたもんじゃねーの?だったら、見つけて何事もなかったかのようにするべきだろ。」

(ああ、この不良先のことまで考えてるんだ。)
確かに、お母さんとかに根掘り葉掘り聞かれるのは面倒くさい。

「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えることにする。」

私は、不良の少し後ろを歩く。

「そうしろ。つか、こんなことして何が楽しいんだろうな?」

「不良も、弱い人からお金を巻き上げたり、殴ったりしてるんじゃないの?」

それだったら、いじめと変わらない気がする。そっちこそ、何が楽しいんだろうって感じだ。

「フッ。俺は、弱い人間から金を巻き上げるなんてゲスいことしないぞ。逆だ。」

「逆って…。強い人間からお金を巻き上げるってこと?」

でも、なんでわざわざ…?普通は勝ち目のある人間に挑んで絶対的強さを見せつけるはず…。

「まあ、それに近いけど弱い人間から金を巻き上げたり、暴力振るったりする人間って一定数はやっぱりいるだろ?だから、逆に俺が強い人間から巻き上げてとられた人間暴力を受けた人間の仇を打つってわけよ…。」

それは、私のイメージしていた不良の姿とは違うものだった。

「なんか、不良っていうよりも
              ヒーローっぽい。」

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