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「いや、でもお前もいそがしいんじゃ?」

「さっきの、私を教室から連れ出す強引さはどうしたのよ?私、基本暇だし。大丈夫。」

見た目不良なのに、少し引いてみたりなかなか掴めない人だと思った。

「じゃあ、鏡頼むなっ!あ、あとこれ…。」

榊先生が手渡してきたのは、私の体育服だった。

「あ…、ありがとうございます。」

榊先生は、もしかしたら気づいているのかもしれない。気づいていて、あえて私には聞かないのだ。

「それって…。榊もしかして気づいて…!なんで…」

夜神くんは今にも榊先生に飛びついていきそうな雰囲気だったがそれを制止した。

「先生。本当にありがとうございます。それでは、私たちはこれで…。」

私はペコっと頭を下げて榊先生に背を向けた。

「お前!なんで…」

私の少し後ろを歩く夜神くんは不服そうだ。

「実は、榊先生は少し前から気づいているんじゃないかって思ってた。多分、先生は私の人柄をみて気づいても触れてほしくないっていうのを感じ取っていたんだと思う。」

「先生って優しいよね。」
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