ドジな小説家見習いの冒険
「健やかなる時も、病める時も、互いを尊重し、信じ合い、愛し合うことを誓いますか?」

「誓います」

帆高と未来は同時に言う。そして未来の頬に帆高が触れ、ゆっくりとその唇が重なった。

「……もう別れの時だな」

美しく幸せなワンシーンに見とれるカミーユの隣で、ミーナが寂しげに言う。その刹那、目の前が真っ白な光に包まれた。



それから数ヶ月、カミーユはいつもと変わりのない日常に戻っていた。

「カミーユ!ここの文章がおかしい!」

小説指導教室では相変わらずミーナに厳しいことを言われてばかりだ。今日も指摘をされ、「すみません」と笑う。

カミーユはあれから未来たちには当然会えていない。でも、異世界で未来たちは幸せに生きてくれているのだろうとカミーユは何となく察している。

「カミーユ、お茶の時間だ。早く来い」

「はい!今すぐ行きます!」

小説指導教室が終わった後、ミーナに声をかけられてカミーユは笑う。

今日はどんなお茶かな、そう胸を弾ませながらカミーユはミーナと共に歩く。その手にはあの時未来たちと書いた小説があった。
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