ドジな小説家見習いの冒険

「こんなことってあるんだ……」

普段は固く閉ざされている扉が、今日はミーナが鍵を閉め忘れていたのかわずかに開いている。カミーユがドアノブに手をかけると、あっさりとドアは開いた。

「わあ……！」

天井まで届きそうな大きな本棚があるその部屋に、カミーユの胸はドキドキし始める。本棚に並べられた本は、様々なジャンルが並べられて図書館のようだ。さらに、様々な言語の本が揃えられており、カミーユはわくわくしながら本を手に取ってページをめくったりしてみた。

「これ以上はミーナ先生怒るかな〜」

カミーユはそう思いつつも、広々とした執筆部屋の探索をやめることなどできない。そして、机の上にミーナが世間から注目を集めることになった本が置かれていることに気付いた。

「この本、すごく話題になったよね」

六人の人間を召喚し、人間に小説を書かせたその本は今でも人気作品として売られている。小説に人間を召喚するなどしたのはミーナだけだ。世間から注目を集めない方が無理だろう。