真夜中だけの、秘密のキス
バレンタイン当日。
緊張し過ぎて、寝不足ぎみのまま登校した。
何とか昼休みに彼を呼び出すことに成功し、ひとけのない廊下の一番端で向かい合う。
「あの、久木君」
声が震えて、静かな廊下に響く。
「私、ずっと前から──……」
「ちょっと待ってくれる?」
突然、割り込んできた美声に、私の小さな声が掻き消される。
振り返るとそこには、スタイルの良い美女が立っていた。
後ろには取り巻きの生徒が数人いる。
彼女はこの学園の──“椿の姫”と呼ばれる生徒会長だ。
久木君と向かい合っていたはずの私は、廊下の隅に退かされる。
ストレートの髪を背中に流した椿の姫は、艶やかな唇を開いた。
「久木瑛翔君。あなたを、生徒会副会長に任命します」
…………え?
何で、今……?
この学校のトップである椿の姫から直々に指名されたということは。
彼女のパートナー、つまり恋人に選ばれたに等しい。
こんなタイミングで、彼を横から奪い取られるとは予想できなかった。
まだチョコも渡せてないし、好きとも伝えられていないのに。
まさか、久木君が椿の姫から選ばれるだなんて……。
緊張し過ぎて、寝不足ぎみのまま登校した。
何とか昼休みに彼を呼び出すことに成功し、ひとけのない廊下の一番端で向かい合う。
「あの、久木君」
声が震えて、静かな廊下に響く。
「私、ずっと前から──……」
「ちょっと待ってくれる?」
突然、割り込んできた美声に、私の小さな声が掻き消される。
振り返るとそこには、スタイルの良い美女が立っていた。
後ろには取り巻きの生徒が数人いる。
彼女はこの学園の──“椿の姫”と呼ばれる生徒会長だ。
久木君と向かい合っていたはずの私は、廊下の隅に退かされる。
ストレートの髪を背中に流した椿の姫は、艶やかな唇を開いた。
「久木瑛翔君。あなたを、生徒会副会長に任命します」
…………え?
何で、今……?
この学校のトップである椿の姫から直々に指名されたということは。
彼女のパートナー、つまり恋人に選ばれたに等しい。
こんなタイミングで、彼を横から奪い取られるとは予想できなかった。
まだチョコも渡せてないし、好きとも伝えられていないのに。
まさか、久木君が椿の姫から選ばれるだなんて……。