お医者さんとの恋[短編]
「食べ終わったら、ここで寝てね 」
「…うん 」
口の中の飴が全部とけて、ベットにゴロンと横になると
優希先生の手がおでこに優しく触れた。
「熱高いな…、これ以上辛くなったらすぐ俺のこと呼んで。このボタン押したら俺飛んでくるから 」
「わかった 。じゃあたくさん押すね 」
「花音ちゃんイタズラで押したら、注射持ってくるよ 」
真面目な顔をする優希先生。
「ごめんなさい… 」
「花音ちゃん
少し怒ったフリしただけだから大丈夫だよ 」
素直に謝ると
真剣な表情の優希先生がふっと吹き出して笑った。
「ま、不安になった時とかも、押して大丈夫だからね
とりあえず今は眠るまでそばにいるから 」
私の心の奥を読みとったような
そんな言葉をかけてくれる優希先生。
さっきだって本当は
弱っているからなのか一人にされるのが寂しくて、
そばにいてほしくて。
たくさん押すなんて言ってしまった。
ゆっくり目を閉じると、優希先生の手がお腹の方にきて
一定のリズムでトントンしてくれる。
先生の手の動きが、心地よくてあっというまに意識を離した。