お医者さんとの恋[短編]
入院
「ゲホッ…ゴホッ…… 」
息苦しさと自分の咳で意識が戻った。
全身が熱くてだるい。
目を開けていることもできず、ぐったりとベッドに横になったまま動けないから
ここがどこだかも分からない。
「お姉ちゃん、大丈夫? 私、優希先生呼ぶ 」
ん………誰?
小さい女の子の声っていうことは分かった。
だけど、咳が酷くて喋ることもできないなら、
何も反応ができなかった。
ーーコンコン
「花音ちゃん、俺だよ。わかる?
今、すごく辛いと思うから、抗生物質の注射打つね 」
意識が朦朧とする中、優希先生の優しい声が耳に入る。
でも、注射………
嫌だよ。 怖いよ。
逃げたい。けど、苦しくてピクリとも体が動かなくて、
優希先生に腕を持たれてしまった。