お医者さんとの恋[短編]
もう何がなんだか訳が分からなくなってきたけど
優希先生の私を安心させるような声だけは耳に届いた。
「スー…ゲホッ ハー 」
先生の声に答えるように
白衣をギュッと握り深呼吸を繰り返す。
その間も、私の身体支え、
ずっと背中を擦り続けてくれる優希先生…
次第に呼吸はマシになってきたけど、怖さで
新しい涙がさらに溢れ出してくる。
「花音ちゃん、びっくりしちゃったよね。
息苦しくて怖かったな。
でも、泣いたら、 体辛くなっちゃうから泣き止もう 」
優希先生の指が、目元に触れて、
涙をひと粒ひと粒、丁寧にすくってくれた。