お医者さんとの恋[短編]

「はい、終わり。今日は診察で泣かなかったじゃん

ところで、花音ちゃん、昨日のこと覚えている? 」


「………少し 」


たしか点滴された後、一度は眠りに落ちて

時間はわからないけど…咳が酷くなった。


その時、優希先生に注射されて

それで最後には先生にくっついて………


何やっていたんだ、私。
あのときは苦しくて不安だったから、
あんなことやってしまったけど


「…っ」


だんだんと記憶が明確になっていくと、

顔が熱くなって目のやり場に困る。



「…優希先生、ごめんなさい 」



咄嗟に謝ると、優しく頭を撫でてくれる優希先生。



「花音ちゃん謝らないで
むしろ謝りたいのは俺の方。

昨日注射痛かったよな、やらないとダメだったんだけど、花音ちゃんが怯えちゃったかなんて思うとすごい心配で 」



優希先生…そこまで気を遣ってくれるの?


私、本気で先生のこと好きになっちゃうよ。




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