お医者さんとの恋[短編]
「優希先生のこと…怖くないから大丈夫だよ 」
怯えるどころか好きだし、
たしかに注射は嫌だったけど、私を助けるために
してくれたのは理解している。
「花音ちゃん、ありがとう
じゃあ、今日も少し頑張れそう? 」
「…頑張れない 」
でも、これから何かされるとなると、話は別。
優希先生のことを困らせるようなことばかりしてしまう
「頑張れないか………。
でも、吸引しないといけないから 」
「グスッ…吸引って何? 」
「喉の奥にたまっているたんをこれを使って取り出すの
あーんして」
ゴム手袋をした優希先生の手にはチューブみたいなものがある。
「やらないと、花音ちゃん苦しいし、
楽にしてあげたいから無理矢理やるね 」
「いやぁー 」
こじ開けられて、チューブみたいな物がどんどん入っていく
…苦しいよ。怖い
「ごめんね。苦しいよね 。すぐ終わらせるから 」
涙がポロポロこぼれ落ちてくると、
優しい口調で声をかけてくれる。
そのおかげで怖さは和らぐ。
けど、苦しさはどんどん増すばかり…