お医者さんとの恋[短編]
「優希先生…グスッ… ヒック 痛い。抜いてよ 」
「あと少しだから。5秒だけ動かないで我慢して 」
痛みとスーッと血を抜かれるような、感覚がして、
泣き叫んでしまった。
5秒ってこんなに長いの………
「花音ちゃん終わったよ。無理矢理やってごめんね 」
「優希先生は悪くない。でも、痛かった… 」
針を刺したのは優希先生なのに、先生の胸に飛びこみ自分からギュッとしてしまう。
「よしよし、もう今日は痛いことしないからね 」
「明日も明後日もずっとしないもん… 」
こんなことばかり言うから、子どもの患者としてしか
見られていないんだろうけど、ふんわりと優しく抱きしめ返してくれる優希先生。
「ハハッ、花音ちゃん検査の結果が大丈夫で夜咳しなければ、もう退院できるから多分やらないよ 」
退院か………
ーツキンッ
心臓が、チクチク刺すように痛む。
入院生活なんて嫌だけど、私、退院したくないかも
先生の患者さんじゃなくなれば、こうやって大好きな優希先生に優しくしてもらえないから…
先生と離れたくないよ………