お医者さんとの恋[短編]
「花音ちゃん、
たくさん泣いているけど辛くない? 」
痛いことはもう終わったはずなのに、新しい涙が優希先生の白衣を濡らしていくから、心配されてしまった。
自分でもなんでこんなに泣いているのか説明できないけど、
近い日に優希先生に会えなくなってしまうことを
考えると胸がキュッと苦しくて、苦しくて
無意識のうちに涙が止まらなくなってた。
「…大丈夫 」
「体のことだけじゃなくて心も平気? 」
「本当は…辛いよ……… 」
優希先生のことが好きすぎて。
喉元までそんな言葉が出かかったけど、
ギリギリのところで抑える。
好きになったのが優希先生じゃなくて、同級生とかならもっと簡単に想いを伝えられるのに…
「俺に相談できることだったら聞くよ? 」
「ううん…先生には言えない
でも、このままでいて? 」
「わかった… 」
優希先生が何を思っているのかは分からなかったけれど
それ以上は何も聞かずに私のお願いを聞いてくれた。