お医者さんとの恋[短編]

「少し怖い顔しちゃったけど、 安心してね。でも、大事な質問だから嘘はなしだよ 」


「はい… 」


先生は目を細めて、口角を上げた。



「花音ちゃん、咳出たとき、呼吸苦しくなったりした? 」


「…しました 」


「じゃあ、花音ちゃんは多分肺炎になってる と思う 」


「肺炎…? 」


自分で聞き返しておいて、体がブルブル震える。


私、治るのって?


治るにしたって、風邪みたいに薬飲んで終わりじゃないよね。

注射とかたくさんあるかもしれない。


痛くない診察だって嫌でたまらないのに

痛いことなんて絶対に無理だもん。



「うっ…グスッ……… 先生、やだっ ヒック」


こんなところで、泣いてしまうなんて迷惑すぎるのは頭で理解していても


子どものようにワンワン泣いてしまう。






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