鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
ムッとして見せるも、彼は気を悪くする風でもなく、くすくす笑っている。

「とりあえずこれでも飲んで一旦落ち着つけよ。ほれ」

ペットボトルの緑茶を手渡され、これも食え、とたこ焼きも差し出された。

「だからっ……」

「誰探してるのか知んないけど、こんな会場で闇雲に探しても見つからないって。またさっきみたいに絡まれても嫌だろ? 」

「うっ……」

た、確かに……。
言い返すことが出来なくて、緑茶を握り締めて俯いてしまった。

頭に何かが触れて、確認するために顔を上げると、隣の彼にワシャワシャと雑に撫でられていた。

「なっ! なっ?!」

驚いてペットボトルが手から滑り落ちた。

彼はあたしの頭を撫でるのを止め、それを拾うために屈んだ。その隙に慌てて手櫛で髪型を整えた。
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