鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「なにって、手。
俺達まではぐれたらマズイだろ?」

た、確かにそうかも知れないけど……!
あたしだって思春期のお年頃の女の子、な、はずだよね……?

彼の年齢は分からないけど、女の子と手を繋ぐとか、全然抵抗ないのかな?

あ……!

さっき、だ、抱きしめられたこととか、頭撫でられたこととか、一気に思いだしちゃった!

は、恥ずかし過ぎる……!

「どうした迷子ちゃん?
また迷子にならないように繋がないと。
ほら、迷子ちゃん」

言って彼は躊躇っているあたしの手を躊躇することなく握った。

それにてとも迷子迷子って、連呼することなくないっ?!

「迷子迷子ってねぇっ!」

「だってそうじゃん」

……。
ま、間違いではないけどねっ!
ちょっとひねくれた気分になりながらも、あたしは大人しく手を引かれて歩いた。
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