鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「……怒ってないの?」

「なんで?」

ひとしきり笑った彼は、不思議そうに首を傾げた。

「だってあたしのせいで……!」

「気にすんなって。楽しいし」

あたしに彼は笑顔を向けている。
それでも、でも、と、だって、を繰り返していると、彼は落ち着かせるようにあたしの肩をぽんぽんと叩いた。

「あの席で花火観るの、毎年恒例なんだ。
また来年もあるし、本当に気にしなくていい。
今年はいつもと違ってて楽しい。

絡まれてる女子助けるなんてさ、人生初だわ。
しかもお前と話してると面白いしっ!

しかも……! くっ! あっはは!
迷子の中学生だし! 動かなくなるしっ!」

「……まだ笑うのっ?」

どうやら本当に怒ってないみたいでほっとしたけど、かなり笑いすぎだと思う。
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