鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
花火を観たあと、さっきよりも人の流れがまばらになった会場を、やっぱり彼と手を繋いで歩いていた。

もうそこまで混んでないし手を繋ぐ必要あるのかな? と思いながら辺りを見渡していた時だった。

「あっ!」

少し前に、見慣れた二人の姿を見つけた!

「いたのか?」

こくこくと頷くあたしに、彼は微笑んだ。

「良かったな、二人の元に戻りな」

「うんっ! ありがとう!」

あたしはお礼を言って早足で歩き出した。

背後から、転ぶなよ~? と、のんびりとした、笑いを含んだ声が聞こえて振り向くと、こちらに手を振ってくれていた。

軽く振りかえして、今度こそ二人の元へと駆け出した。
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