鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「わかったわかった。
罰として今度の週末、仕込み手伝ってね。
それで許してあげる」

「あ、ありがとうお母さん!
週末だけじゃなくて、毎日手伝うよっ!」

嬉しくなって握った手をブンブン振るあたしに、お母さんは困ったように笑った。

「あなたは平日学校でしょ。週末だけで良いわ。

あ、あと勘違いしてるみたいだから言っておくけど、今朝早かったのは予約が入ってて、いつも以上に仕込みに時間がかかるからよ。

この前伝えておいたと思ったんだけど」

「えっ……?」

お母さんの言葉に記憶を辿る。

「ちょっとごめんね」と言って、お母さんはあたしから手を離してキッチンへ向かっていった。

確かに言われたような……?
この日は朝早いから朝御飯一緒じゃないよって……。

な、なんだぁ……。怒って早めに出た訳じゃなかったんだ……!
< 32 / 100 >

この作品をシェア

pagetop