鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「あ、あれ……?」

助かった、のかな……?

いつまでも来ない衝撃と左腕の違和感に目を開いた。

「お前、相当だな。ぷっ!」

斜め後ろから声が聞こえた。
聞いたことあるような? しかも最近?

首だけ動かして確認してみる。

「……ん? ……って、あっ!」

「よう、昨日ぶり、迷子ちゃん」

あたしの左腕を掴んで笑顔を浮かべていたのは、昨夜の花火大会で出会った男の子だった。

「あ、 朝からびっくりしたぁっ!」

こんな偶然ってあるんだなぁ、と彼をしげしげ見つめる。

「お前、昨日も困ってたけど今日も困ってんの?
てか毎日困ってんの?」

……。
確かに、昨日は助かったよ?
今も、彼が腕を掴んでくれなかったら転んでたよ?

助けられたけどさ、けどさ……。
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