鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「そういえば立花さん、始業式居なかったよね? もしかして……?」

隣の子はハッと目を見開いて、口元を押さえた。

「確かに始業式は出てないし、知らない男子と登校したけど……。

だからって彼がその転校生なわけないよ」

何か期待しているような眼差しを向けられているけど、その期待には答えられそうにないなぁ、と申し訳ない気持ちになりながら返事をした。

「そうかなぁ?
じゃ、立花さんはただ遅刻しただけなの?」

「うん、新学期早々、うっかりだよ」

あはは、と笑って見せるも、彼女はまだ納得していないようだった。

「う~ん……。
まぁそれはそうと立花さん、知らない男子と登校って、危なくない?

立花さん警戒心無さすぎで心配だよ」

ありさと言いこの子と言い、心配性だなぁ。彼は知らないけど知り合い? だし?
たぶん良い人? だし?

あたしは大丈夫だよ~と笑いながら、スプーンを手に取った。
< 48 / 100 >

この作品をシェア

pagetop