鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
何とか話し終えて、口を開いたのはやっぱりありさだった。

「ふぅん。じゃあ、事の発端は全て美空なのね?」

「あ、うん……。彼は恩人だよ。色々助けてもらったし……」

あたしの再度俯いてしまった頭に、ぽんっと手が乗った。

「そうだぞ、恩人だぞ~。俺、美空を昨日から助けまくってる」

にやっと笑った転校生を、ありさが
ジトリと睨んだ。

「だからってなんなのその馴れ馴れしさっ!」

「いやだって、そんな仲だから? なー」

なーって言われても。

「転校生くん、貴方の想いは一方通行ね。この鈍感娘を助けてくれたことは感謝するけど、だからって独り占めできると思われても困るのよ。恩人が何をしても良いってことにはならないんだからね」
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