鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
あたしはありさと目を見合わせた。

「立花、さっきからキョロキョロしすぎだし、返事しないし」

さっきよりちょっと、瀬田があたしの腕を掴む手に力をこめた。

「えっと、明日はありさと一緒で……」

「今日も帰り一緒なのに?」

「ま、まぁ……」

あたしと瀬田の会話に、ありさが入ってきた。

「お泊まり会なのよ、わたし達。

今から支度して、明日丸一日遊ぶ予定なの」

瀬田は目を細めて、ありさに尋ねる。

「へぇ、どこで?」

「美空の家」

「う、羨ましい……!」

掴まれた腕が、軽くぶんぶん振られている。痛いとかではないけど、なんだろ? と思う。

あ、時々遊ぶ小さい従兄弟に「今日はお泊まりだから一緒に寝ようね」って言ったとき、こんな風にあたしの腕を振ったことがあったなぁ。
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