鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
ありさと顔を見合わせると、ありさも同じことを思ってたみたいだった。

「まさか、こっちに気づいたとか、ないわよね……?」

「ま、まさか」

二人でこそこそそんなことを言っていも仕方がないので、それはもう置いておくことにして、あたし達は試合観戦に集中した。

とは言っても普段見慣れないスポーツだ。
ルールはさっぱり分からない。

ただ、緊迫した空気の中、真剣な眼差しで弓を引き、矢を射る選手達の姿は格好良い。
みんな素敵だ。

ルールすら知らないくせに、気がつけば魅入っている自分がいた。

「あ、瀬田……」

小さく言って、拳を握る。
頑張れって、心の中で応援する。

瀬田が、構えた。
的を見据え、きりきりと弓を引いている。
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