鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
袴姿も、弓道も、イメージではなくて驚いたはずなのに、すっごく様になっている。

真剣な横顔が、いつものふざけた表情や意地悪な表情と、全然違う。

あたしは瀬田が構える度に、息を呑んだ。

ちょっと、ドキドキする……。

あれ? ドキドキ? なんで?

あたしが瀬田を見つめながら首を傾げていると、隣でありさが肩をすくめた。

お互いに、首やら肩やら大変だ……。

って、おばあちゃんみたいなことを考えていると、歓声が沸き起こった。
歓声、と言うには静かなものだったけど、瀬田を応援していることは、分かったような感じ。

会場隅のあたし達よりずっと前。
観覧席の前方にいる女子グループが「瀬田くん! スゴい!」とか「カッコいいっ!」とか言っている。
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