鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「美空、俺、力出せたわ!
見てこの賞状! 美空パワーだなっ!」

女子グループから抜けてきた瀬田が、にこやかに手を振りながらやって来た。

「バカ瀬田っ! 弓道なんて聞いてなかったし驚いちゃったしっ!

しかも、ちょっと格好良いかなっなんて思っちゃってどきどきして戸惑ったよっ!」

瀬田はあたしの言葉にきょとんとしていた。その間に、あたしは瀬田が片手に持っていた表彰状を眺めていた。

おおっ! ちゃんと「瀬田優斗殿」って書いてあるっ!

「ほんと凄いね、瀬田! おめでとうっ!」

あたしは拍手しながら彼を褒め称えた。

「……ほんと凄いのはお前だよ、バカ美空」

「さすが無自覚ド天然」

……?
瀬田とありさは口々に言い、何故か二人揃ってため息をついた。
今日は言い合うこともなく、仲良さげだ。

「あ、瀬田。名前呼び戻ってるよ?」

「……あぁ、はいはい」
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