鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
「お腹空いたわね……」

「俺も」

さっきから珍しく仲良さげなありさと瀬田が、揃って言った。

携帯で時刻を確認すると、お昼過ぎになっていた。まぁ、お腹も空くよね。あたしもちょっとすいてきた。運動した瀬田なら尚更だろう。

「なんか食べ行かね?」

瀬田が言い、

「この三人で?」

と、ありさが首を傾げた。

「鈴木はいてもいなくても、俺は美空がいれば……。あ、じゃあやっぱいない方が都合が……って、痛い」

「黙れ瀬田くん」

ありさが瀬田のおでこをペチッとした。
ペチッ、だから痛いわけないんだけど、瀬田は大袈裟に痛がっている。

あたしは今日は言い合わない二人を目の前に、コンビ組んで漫才でも始めたのかなぁ、なんて思った。

「あ、ねぇそこの漫才コンビ」

「違うっ!」
「何言ってるの?!」

さすがコンビ。
笑っちゃうほど息ぴったりに返事をしてくれた。
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