鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
卒業のうるうる
のんびり楽しく過ごしていると、いつのまにやら中学3年生の春先になっていた。

月日が経つのは早いなぁ……。もう中学校卒業だ。

「美空、どうしたの?」

「どこ見てんだ? ぼんやり姫」

頬杖をついて窓の外を眺めていると、二人から声がかかって顔をそちらに向けた。

ありさと瀬田は、1年生の頃こそ別のクラスだったけど、2年、3年と同じクラスになれた。偶然って凄い。

毎日3人で、賑やかに楽しく過ごした。二人の手には、それぞれ卒業証書が握られている。

「ああ、二人とも。ちょっとセンチな気分にならない? 卒業だし」

「お? ぼんやり姫は、おセンチなぼんやり姫にランクアップしたのかっ!」

茶化す瀬田を

「黙れ瀬田くん」

とありさがおでこにペチッとする。

変わらない風景だ。
< 91 / 100 >

この作品をシェア

pagetop