鈍感ちゃんと意地悪くんの出会いの物語
そんなお母さんの努力を見守ってくれている周囲の人々は、お母さんもそうだけど、あたしのことまでも気にかけてくれる。

「美空ちゃん、困ったことがあったら、おばちゃんに言いなさいよ?」

「よう、美空ちゃん!
魚釣ってきたからお裾分けだっ!」

「美空お姉ちゃん、お母さんが、これ、お姉ちゃんにって」

みんな、優しい。

ありさも瀬田も、そんな優しい人々の仲間だと思う。

ありさが、「おばさんに卒業証書見せに行こう」と言ってくれた。

瀬田が、「俺も、おばさんに会いに行く!」と言ってくれた。

優しい二人に笑みが漏れる。
あたしにとって大事な二人だ。

ずっと三人でこうしていられたら嬉しいな。

「どうしたの? 美空? 歩きながら、顔がふわっふわしてる」

「おセンチなおとぼけ姫、ますますとぼけてんのか? 危ないぞ?」

スーパーおとぼけ姫かっ!
瀬田が笑相変わらず笑っている。
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