旦那様、離婚はいつにしましょうか～御曹司と清く正しい契約結婚～

「そうじゃないよ。新しいリーダーが社長室に来てるみたいなの。そろそろ部にも顔を出すから呼んでこいって言われて」


　そういえば今日着任すると、聞いていたような。

　なんでも現社長の息子らしく、五年ほど大手商社のワシントン支社に武者修行に行っていたとかいう切れ者だとか。


　課長としての赴任になるものの、近い将来社長のイスに座るような人だ。


「わかった。すぐ行く」


　私は残りのコーヒーをごくごくのどに送ってから、同じフロアにある事業企画部へと向かった。


　私が部屋に入ると、総勢三十二名の部員たちがざわついている。

　皆、御曹司の彼に興味があるらしい。

　注目されるのも大変ね……。


　だって、御曹司でかつ切れ者。

　しかも、なかなかのイケメンだなんて噂まであり、相当ハードルが上がっているもの。


　私なら嫌かも。
　プレッシャーに押しつぶされそうだ。