御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
『ピピッ』と音の後、遥が開ける。

「どうぞ」

「ああ。お邪魔します。広っ」と翔は入って驚く。
自分の部屋も玄関は広く、贅沢な造りになっているが、ここは比べ物にならない。
ピカピカな玄関に、ピカピカの廊下。
全体的に真っ白な色調になっていて、清潔感がある。翔は、西園寺家のご令嬢と知っても遥自身は偉そうな様子もないので、特に構えることなく受け入れられていたが、ここに来て、初めて西園寺家の凄さを思い知る。

俺は、遥の相手として認められるのだろうか…

まだ、リビングにも辿り着いていないが唖然としっぱなしだ。

そして、廊下の先には一面大きな窓。広々としたリビング。

御曹司の翔ですらポカンとしてしまう。

「遥、ここにひとり暮らしだよな?」

「ええ」

「ずっと?」

「元々は、両親と3人で暮らしてたんだけど、亡くなってからはひとり。隣にお祖父様も住んでるしね。朝食を用意するから座っててね」

「ああ」翔は窓際に行き、ベリーヒルズビレッジを見渡す。

綺麗に維持されたセレブの街。

その頂点の人物にこれから会うのだ。

改めて、気合いが入ると共に、緊張が駆け抜ける。







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