御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
そして迎えたお昼。

「やあ、いらっしゃい」と招き入れてくれる公造。

「お邪魔いたします」カチンコチンの翔。

「お祖父様、昼食にお招きありがとう。今日は何?」といつも通りの遥。

「今日は、アッサリ寿司が食べたくて呼んどいた」

「わ~い」

「呼んどいた?」翔が思わず聞き返す。

「翔さんは、初めてだもんね。オフィスビルの中にあるお寿司屋さん知ってる?」

「それはもちろん」誰もが知る高級店だ。翔も行ったことがある。

「そこの大将が出張して握ってくれるの」

「はぁ?」翔は素っ頓狂な声を上げる。翔も御曹司だが、西園寺家は桁違いだ。高級レストランの中でも老舗の寿司店。そこの大将が来てくれるなど聞いたことがない。しかも、年末の忙しい時期に、そんなに簡単に来てもらえるのだろうか?

そして、公造の家のリビングまで辿り着いて驚く。広さは遥の方と同じなのだろう。ところが、ダイニングとキッチンの横に、寿司屋の様なカウンターがあるのだ。

そこには、自分も行ったことある高級寿司屋の大将が準備をしていた。

「おっ、遥ちゃん久しぶりだな。そして、どこかで見たことある顔だと思ったら、神宮寺の」

「大将お久しぶりです。翔です」

大将はニヤッと笑う。
「なるほどな」

「大将。トップシークレットじゃぞ」と公造。

「もちろん」




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