御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
「お祖父様ありがとう」
遥は祖父の愛情を感じ、目尻に浮かぶ涙をそっと拭う。

「西園寺さん。私もお祖父様と呼ばせていただいても?」

「もちろんじゃ」

「お祖父様、私達はまだまだ知らない事も多いです。知って行くにも、お互い忙しい身。急な話ですが、同棲をしたいのですが認めていただけないでしょうか?」

「お主の強引な所、嫌いじゃないぞ。いいだろう。認めよう。ただし、条件がある」

「何でしょう?」

「まずは、神宮寺製薬の今後をどう考えておる?」

「はい。私には遥さんと同じ歳の弟がおります。まだまだ若いですが、将来神宮寺製薬を継げる器だと思っております。すぐには無理ですが、幸い父も現役ですので、遥さんが秘書の契約の残りの3ヶ月で、引継ぎたいと考えております」

「そこは、西園寺グループも何かあれば協力しよう」

「ありがとうございます」

「ただ、不安要因になる人物が何人かいるようだから注意しなさい」

「はい」

公造には何もかもお見通しの様だ。実際、年功序列廃止で降格した者が不穏な動きをしているのは事実だ。

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