御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
リビングには、翔の両親。

「お邪魔します」

「遥さんいらっしゃい」

「遥ちゃん、いらっしゃい。ホントに美人だわ」

翔の両親は、遥の事を凄く気に入っている。昔から適当な付き合いしかしなかった息子が、素晴らしい女性を選んだのだ。

長谷屋の手土産を渡すと、
「わざわざ寄ってくれたのね。嬉しいわ」と優しく対応してくれるお母様。

そして、向かい合い座って新年の挨拶を交わした。

「親父、お袋、今日は大事な話をしにきた」

「ああ」と父が返事をする。

「俺は、遥と結婚を前提に付き合ってる」

「きゃ~」と喜ぶ母。

「遥のお祖父様には挨拶をして同棲する事も認めてもらった。ただ、時期が来るまでは公にしないことにはなっている」

「正しい判断だな」と父も納得しているようだ。

「俺は、神宮寺家の長男に産まれて、当たり前に親父の会社を継ぐつもりでいたんだ。不満もなくやり甲斐も感じていた。ただ、遥に出会ってそれ以上に大切な事が出来た。親父、俺はこれから先の人生、遥と共に遥の背負っている物を一緒に背負って行きたいんだ。親父の後は翼に託したいと思っている」

「「…」」無言の両親。まさか反対なのか?と思った時、

「翔!よく言った!お前が立派に成長してくれていて嬉しいぞ」と父親。

「うんうん。翔は、何でもそつなく熟すけど、何かに一生懸命になっている感じではなかったし、結婚なんて考えもしていないと思っていたから、感動したわ」と母親。
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