御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
社内の女性達は中々兄さんに接触できず、何故かその不満を兄さんの秘書の文句を言うことで発散しているようだ。

地味メガネや愛想がない、仕事で失敗したらいいのに等々…

女ってホントに呆れる。
俺も遠目で見ただけだが、仕事が出来そうだし、女を出していない感じが(むし)ろ好感がもてる。

派手で愛想があったら色目を使っていると言いそうだし、仕事で失敗してもそのポジションは君達には廻って来ないぞと言ってやりたい。


そんなある日、外出から戻った時の事だった。
フロアに足を踏み入れた瞬間から、今日は何故かザワついている。何かあったのかと疑問に思いながらも、部署に戻ると興奮した同僚達が寄ってきた。

「何事だ?」

「翼、いい所を見逃したな」と言うのは、同期の武田。

「何だよ」

「それが、海外営業部にフランスから電話が入ったんだけど、その相手がお怒りみたいで。しかも、フランス語が話せる子が取ったのに聞き取れない訛りで、誰も代わろうとしなくて。タイミング悪く部長も課長もいなくて、あわや大惨事。その時、副社長秘書の西園さんが部長に用事で現れたんだけど、状況を見てサッと電話代わってさ、あっという間に解決だよ。その後戻って来た部長に書類を渡して何事もなかった様に去って行ったんだ」

「へぇ~」

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