御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
「遅くなりました」と遥が登場。

「お疲れ様!お祖父様は?」

「ラウンジに少し顔を出してから、家に帰るって」

「一緒に行かなくて大丈夫だった?」

「お祖父様が、若者同士楽しみなさいって」

「年明けまで休みだしゆっくり出来るな」と翔が嬉しそうに言ったが、

「俺、年末年始はずっと仕事だよ」と夕輝。

夕輝は、和菓子屋の御曹司。年末年始は、かなり忙しい。

新年のご挨拶に長谷屋の和菓子は人気で、ベリーヒルズ店は、年末年始は営業しているのだ。

各地のデパートのお店も初売りの2日から営業するため、夕輝には年末年始の休暇はない。

「悠里は、寂しいわね」

「ううん。今年は、私も夕輝のご実家を手伝わしてもらうの」

「じゃあ、ご両親の所に行かないの?」

「うん」

「悠里の両親はどこかに行ってるの?」と翼が聞く。

「フランスだよ」

そう、悠里の父親は西園寺グループの子会社で働いていて、今はフランス支社の支社長をしている。

「じゃあ、夕輝さんの所で花嫁修業だな」

「「……」」夕輝と悠里は、ふたりで赤面する。

「何?その初々しい反応」

「だって、改めて言われると恥ずかしいんだもん」

「悠里可愛い!」と遥は、親友の姿に自分まで嬉しくなる。



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