御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
「だから俺達は、そろそろ帰らせてもらうな」

「ああ」

「そうね。悠里は明日からに備えてゆっくり躰を休めてね」

「遥ありがとう。神宮寺さん、遥をよろしくお願いします」

「ああ」と微笑む翔。

「何か、お邪魔みたいだし、俺も帰るわ」と翼。

「え?お邪魔って?」

「遥、兄さんをよろしく」

「??」よくわかっていない遥。

そして、3人はあっという間に帰って行き、遥と翔だけになった。

「副社長、一緒に帰られなくてよかったんですか?」

「翔だ」

「??」何の事かわからず、キョトンとする遥。

「もう、仕事は終わったんだ。プライベートまで副社長だと休まらない。翔と呼んでくれ。俺も、遥って呼んでいいか?」

「…。遥で構いませんが…」

「俺の名前も呼んでみて」

「…。」顔を真っ赤にする遥。

翔は、普段クールな遥の初々しい反応に、今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られるが、グッと我慢する。

「ほら、早く」

「…。翔さん」と小さい声で呟き、両手で顔を隠す。




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