御曹司の恋の行方~地味な派遣秘書はご令嬢~
30分後、ドレスから可愛らしいモコモコの部屋着に着替えたスッピンの遥が戻ってきた。

その余りにもいつもとギャップのある可愛らしい姿に、翔は理性が保てるか自信がなくなる。男性の部屋に来るのに、何て無防備なんだと思う。

「遥。反則だよ。何その可愛いさ」と呟く。
遥は、いつもと変わらぬ格好になったつもりだが、翔に可愛いと言われ、一気に自分の格好が恥ずかしくなる。

「すみません。いつもの家での格好で来てしまいました。着替えて来ます!」

「イヤイヤ。そのままで。他の男の前ではしないでくれ。俺とふたりの時だけな」

「はあ。変じゃないですか?」

「変なわけない。ヤバイ。可愛い。遥、ちょっとだけ抱きしめていいか?嫌なら言ってくれ」

遥に近づき優しく抱きしめる。
翔は、遊んでいた時期もあり女性経験は豊富だが、抱きしめただけで癒されたのは初めてだ。

遥は、もちろん抱きしめられるのすら初めての経験。翔に抱きしめられ、心地よく安心する。この気持ちが何なのかは、まだ遥にはわからないが、嫌じゃないのは確かだ。




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