この先に日常は待っているのか
第2章 目
4月13日
始業式から1週間。
彩達はいつも通り学校に向かう。
「そーいや、黒崎さん全然周りと話さねーよなー。」
陽翔が1週間前に来た転校生・黒崎 美和について呟く。あれからというもの、後ろの席の彩でさえ、必要事項以外のことは全くと言っていいほど話していないのだ。
「確かに!僕話しかけてみたけど、そう、としか返されなかったよ。」
「もうクラスの奴らも話しかけたりとかしてねーよな。」
「ほっときゃいいだろ。」
颯泰と陽翔に、美和についてどうでもいい大和は冷たい一言。
「でもさ、大人しい性格であまり人と喋らない奴って勿論いると思うけど、そんな感じにも見えないんだよね。むしろ避けてるっていうか、誰とも関わりたくない雰囲気というか…。」
「なにそれー!意味分からないよ哲樹!」
「俺も分かんねーな、ただただ暗い奴に見えるけど。」
よく見ている哲樹に対し、何も考えてない颯泰と陽翔はこの返事。
「……なんか、なんとなく分かる気がする。」
颯泰達が彩の言葉に驚く。
興味なさそうだった大和もちらりと彩を見た。
「なんとなくだよ!?ただ、私も仲良い人達以外とは話さないような人間だから、後ろから見てて似たようなこと思ってただけ。」
「まあ、変じゃないって言われたら嘘になるよな。」
自分の思ってたことを話した彩に陽翔は同調する。
「俺たちは別に深く関わることでもねえんだ、そんなに考えることねえよ。」
「そーだね!そういえば今日の授業は、ーーー」
大和の一言に話題が変わる。
しばらく歩いて学校に着いた5人は教室に向かった。