この先に日常は待っているのか

3組は1時間目が化学だったため、学年主任の朝倉が教室に入り、すぐに黒板の文字を発見する。

「おい、なんだこれは!書いた奴すぐに出てこい!」

朝倉の怒号が廊下にまで響き渡り、教室中が凍る。
石高の生徒は素直な生徒が多いため、普通ならすぐに名乗り出る場合がほとんどだ。
だが、どれだけ怒鳴っても落書きした生徒が出てこない朝倉は、流石に変だと思ったのか生徒に尋ねる。

「この落書きはいつからあるんだ?」

「登校した時には既に書いてありました。」

生徒会長の皆木 紗菜〈みなぎ さな〉が答える。

「この教室に1番早く来たのは?」

「私です。来た時には既にありました。」

挙手をしながら、梨々佳が答えた。

「なるほどな。なんでお前ら消さなかったんだ?」

「だって先生…、去年のこともあるし、なんか怖いじゃないですか…。」

クラスの女子次々と答え始める。

「それとこれとは関係ないだろ。それにあの件に犯人なんていなかったじゃないか。とりあえず、今回はこれで終わりにするから、以後気をつけるように。少し遅れたが、授業を始める。」

こうして、朝倉が黒板の文字を消し、何事もなかったように授業が始まった。


朝倉は授業終了後に、念のため学年の先生たちに事を伝えたらしく、2時間目前のホームルームの時間に樫谷が生徒全員に注意をした。



その後、何事もなく授業がそれぞれ進んでいく中で、彩は去年の出来事を思い出していた。

あれは、去年の11月18日のことだった。


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