この先に日常は待っているのか
4月13日
そういえば、事件後すぐの休日は、あの光景を見たせいか、1人でいると気が沈んでしまいそうで、大和と課題やゲームで気を紛らわせたんだっけ、と彩は思い出していた。
ぼやぼや思い出している間に、授業は終わり、放課後になっていた。
「それにしても、結局あの落書きの犯人見つかった?」
「いや、誰も見つからなかったよ。」
ピンポン球を打ち返しながら、彩は中に返事を返す。
「今日、おだぎのクラス沢山人集まってたもんな。」
「『犯人は誰だ』なんて物騒すぎるよ。」
「きっと誰かの悪戯だろ、どうせ。」
2人の打ち合いを見ながら、台の脇で優哉達が話している。
「誰かの悪戯なら良いけど、もう先生にクラス全員で怒られるのは勘弁だなあ。」
特に2年の先生は厳しい人が多く、怒鳴る先生もいるため、彩は黒板の件だけでヘトヘトになっていた。
「おだぎは勿論やってないんだから、何も考える必要ないよ。」
「そうだよね!もう何も無い事を信じよう。」
1時間目の朝倉の怒鳴り声を一緒に聞いていた優哉の言葉に、彩は一安心した。
「まあ、おだぎが犯人だとしたら、もう何も言えないけどね〜!」
「ちょっと中ー!」
その後、部活中も下校中も、黒板の件の話は出てこず、それぞれ今まで通りの日常を過ごした。
そして、この週は黒板の件以降何もなく、また平和な学校生活をそれぞれ送っていた。