この先に日常は待っているのか
ホームルーム終了後は解散となり、彩は多少緊張しながらも、美和に声をかけた。
「黒崎さん。私、後ろの席の小田切 彩!これからよろしくね。分からないこととかあったらなんでも聞いて!」
「…ありがとう。」
少しだけ顔をこちらに向け返事を返した美和は、帰り支度をしてすぐに教室を出て行ってしまった。正直その対応はとても良い人とは言えない。
そんな雰囲気を見たクラスメイト達のヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
「大丈夫?彩。」
そう言って声をかけてきたのは麻里香だった。
「薄暗くて気味悪くない?」
「それに感じも良くないし…。」
続いて、春菜と梨々佳も不安を言い始める。
「大丈夫だよ、ありがとう!明日からまた様子見てみるよ。私たちこれから部活だもんね。」
始業式で早く学校が終わったため、部活がある人は教室や部室で食事をとった後に活動する。
春菜は女子軟式テニス部、麻里香は女子剣道部、梨々佳は美術部に所属している。私以外の3人は、各自部室で昼食をとるらしい。
「彩〜!ご飯食べよっ!」
そう話しかけてきたのは颯泰だった。
「じゃあ、私そろそろ行こうかな。
「私も〜!」
「じゃあ皆また明日ね〜!!」
春菜達が教室を出て行く。
彩はふと大和の席を見ると、もう陽翔や哲樹も集まっていた。
彩と大和の机をくっつけ、3人が各自椅子を動かし弁当を広げる。
その時だった。
「あのー、俺も一緒に飯食っていいか?」
彩が声のする方を見上げると、見覚えのある男子が立っていた。