この先に日常は待っているのか

「お!雄吾じゃねーか!」

「狭えけど座れば。」

男子に顔が広い陽翔が声をかけ、大和が座るように促す。

彼は、石澤 雄吾〈いしざわ ゆうご〉。去年は彩・大和と同じ4組であり、男子バスケ部に所属している。誰とでもフレンドリーに接する彼は、友人が多くクラスの中心になる事も多い。


「男バスは人数が多いから部室じゃゆっくり食えねえし、他の奴らも新しいクラスの奴らと飯食うって言うから行きづらくてさ。」

「全然大丈夫だよ!僕は春風 颯泰、よろしくね!」

「俺は速水 哲樹だ。」

「颯泰に、哲樹だな!俺は石澤 雄吾だ。小田切さんと大和は去年も同じクラスだったよな、改めてよろしく!」

「よ、よろしくね!」

雄吾のフレンドリーさに圧倒された彩は、焦って返事を返す。


「にしても今日の転校生変な感じしなかったか?」

弁当を食べながら、急に転校生の話をする雄吾。
やはり、社交的な彼から見ても、美和は異様な雰囲気を放っていたのだろう。

「そういえば彩、僕が呼ぶ前に話しかけてたよね?」

「うん、暗い感じはしたけどちゃんと返事は返してくれたよ。」

「話しかけたら返事くらいするだろ。」

「あのね、全員がそういう人ばっかりじゃないんだよ、陽翔。」

普通が当たり前かのように話す陽翔に、哲樹は世の中には色んな人がいるんだぞ、と教える。

「また様子見て、仲良くなれるように話しかけてみるつもりだよ。」

「さて、人見知りの彩が仲良くなれるかな?」

「ちょっと陽翔、馬鹿にしてる?」

「俺も小田切さんと一緒に話しかけてみるかな〜。」

「流石のコミュ力だね、石澤君。」

「まあ、怖がらせんなよ。」

「おい!お前に言われたくねーよ、大和!」



そんな話をしている内に、皆昼食を食べ終えていたので、部活開始時刻より少し早いが、6人は校舎を出て部室棟へ向かった。

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